生前整理とは?効率的なやり方・進め方をわかりやすく解説!
終活の取り組みの1つとして注目を集める「生前整理」。
自分の死を意識することになるため、人によってはネガティブなイメージを抱いているかもしれませんが、生前整理は決してネガティブなものではありません。遺される家族の負担を減らすために、そして、残りの人生をよりよく生きるために行うポジティブな作業であり、早いうちから着手することで、その後の人生をより楽しく快適に過ごせるようになります。
しかし、いざ生前整理を始めようと思っても、何をすべきかいまいちピンとこないという方もいるのではないでしょうか。
今回はそんな方に向けて、生前整理の基本的なやり方について解説していきます。効率よく進めるためのポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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生前整理とは?
生前整理とは、いずれ訪れる「死」に備えて、生きているうちから身の回りの品や財産を自分自身で整理することを指します。
終活の一環として行われるケースが多いため、高齢になってから、もしくは高齢期に差し掛かる前に行うものだと認識している方も多いかもしれませんが、実は生前整理を始める時期にこれといった決まりはありません。気力・体力・判断力を要する作業も多く、何歳からでも早いに越したことはないため、年齢に縛られることなく、思い立ったタイミングで取り掛かってみてください。
老前整理との違い
生前整理とよく似た言葉に「老前整理」という言葉があります。どちらも将来に向けて身の回りの整理を行うことを指しますが、具体的にどのような違いがあるのでしょうか。
そもそも「老前整理」とは、老後に備えて身辺整理することを指します。生前整理とやること自体に大きな違いはありませんが、その目的は若干異なり、生前整理は主に遺される家族の負担を減らすために行うのに対し、老前整理は自分の老後生活を快適に過ごすために行うのが一般的です。簡単に説明すると、生前整理は人のために、老前整理は自分のために行うことになります。
また、着手するタイミングにも少し違いがあり、生前整理は年齢に関係なく行えますが、老前整理は主に高齢に差し掛かる前に行うものを指します。とはいえ、老前整理も早めに取り掛かるに越したことはありませんし、最終的には遺族の負担軽減につながるため、時期や目的の違いはあれど、老前整理も生前整理の一部として位置づけてしまってよいかもしれません。
遺品整理との違い
ちなみに「遺品整理」とは、遺族または関係者が故人の遺した品物(遺品)を整理する作業を指します。こちらも生前整理と混同されやすい言葉の1つとして挙げられますが、こちらは生前整理および老前整理とは似て非なるものです。
大きな違いを挙げると、生前整理または老前整理は生きている間に本人の手によって行うのに対し、遺品整理は本人が亡くなった後に遺された人たちの手によって行われます。作業を行う時期も人も異なるため、生前整理および老前整理とは別物として考えたほうがよいでしょう。
ただ、まったくかけ離れているわけではなく、生前整理を行わない場合は、自分亡き後に遺される家族が同様の作業を行うことになります。何も手を付けていない状態で亡くなってしまうと、彼らにかかる負担が大きくなってしまうため、生前のうちにできるだけ自分で片づけられるとベストです。
生前整理を行う4つのメリット
続いて、生前整理を行うことで得られるメリットを4つ紹介します。
1.遺される家族の負担を軽減できる
2.家族・親族間の相続トラブルを未然に防げる
3.ライフスタイルを見直すきっかけになる
4.不測の事態に備えられる
詳しく見ていきましょう。
1.遺される家族の負担を軽減できる
生前整理を行う最大のメリットは、遺される家族の負担を軽減できる点です。
前述のとおり、自分が亡くなった後は、生前に所有していた物品や財産の整理を遺族に任せることになります。しかし、大切な人を失った喪失感を抱きながら、その人との思い出が詰まった遺品を整理・処分するのはそう簡単なことではありません。程度の差こそあれ、遺品整理を行う家族には、身体的・精神的・金銭的な負担を背負わせることになるため、彼らにかかる負担を減らすためにも、身体が動くうちから少しずつ身の回りの整理を進めておきましょう。
2.家族・親族間の相続トラブルを未然に防げる
家族・親族間で起こりがちな相続トラブルを未然に防げるのも、生前整理を行うメリットの1つです。
あらかじめ自身の所有している財産を整理し、遺産の分配方法を決めておくことで、相続トラブルが発生するリスクを少なからず減らすことができます。どれだけ仲の良い家族でも相続で揉める可能性は否定できないため、家族の仲に亀裂が入らないよう、生前に遺産の分配方法を明確にしておくとよいでしょう。
3.ライフスタイルを見直すきっかけになる
生前整理は、何も家族のためだけに行うものではありません。必要なものと不要なものを仕分ける作業は生活の改善につながりますし、財産を整理する作業はライフプランの見直しにつながるため、自分自身のためにも実施するメリットが大きいといえます。
4.不測の事態に備えられる
人生はいつ何が起こるかわかりません。例えば、予期せぬ事故で急に命を失ったり、突如発覚した病気で長期療養を余儀なくされたり。不測の事態に陥った場合は、本人に代わって家族がさまざまな手続きや作業を行うことになりますが、あらかじめ身の回りを整理しておけば、すべてを把握しきれていない家族でも比較的スムーズに動くことができるでしょう。
生前整理でやることは主に2つ
生前整理でやることは、大きく分けて2つあります。
・財産整理
・品物整理
それぞれ進め方が異なるため、1つずつ確認していきましょう。
生前整理の基本的なやり方・進め方|財産編
まずは、財産整理の手順から解説していきます。
Step1.財産資料を整理する
Step2.財産目録を作成する
Step3.財産を整理する
Step4.遺言書を作成する
上から順に詳しく確認していきましょう。
Step1.財産資料を整理する
手始めに、財産にかかわる資料を集めましょう。例えば、預貯金通帳や保険証券、不動産の権利証、有価証券など。プラスの財産だけではなく、マイナスの財産も含め、自身の財産に関する資料をすべて集約し、確認しやすいように整理しておきましょう。
Step2.財産目録を作成する
資料を整理し終わったら、財産目録を作成していきます。
ちなみに、財産目録とは相続財産の内容を一覧でまとめたものです。特定の形式はありませんが、一般的には「不動産」「預貯金」「有価証券」「保険/現金/その他」「負債」などの項目を設け、それぞれ必要な情報とともに財産をリストアップしていきます。なかには、負債について明記したくないと考えている方もいるかもしれませんが、マイナスの財産も相続の対象となるため、隠さず正直に記録しておきましょう。
また、このときに忘れてはならないのが、デジタル遺産です。例えば、ネットバンクやネット証券、仮想通貨といった金融資産、各種ポイントやマイレージ、電子マネー、サブスクリプションサービスなど。インターネット上で管理しているものは遺族も把握しづらく、知らず知らずのうちにトラブルへ発展してしまう恐れがあるため、抜け漏れがないよう、すべてリストアップしておきましょう。
Step3.財産を整理する
現時点で保有している財産が明確になったら、その財産を整理していきましょう。
例えば、使っていない口座や保険を解約したり、利用価値の低い不動産を手放したり、有価証券を売却して現金化したり。遺しておく財産については、相続人と相続方法(相続または生前贈与)を決めることになりますが、相続については専門的な知識も求められるため、不安な方は専門家に相談するのも1つの手です。
Step4.遺言書を作成する
財産整理が終わったら、関連資料を1か所にまとめて、その保管場所をエンディングノートに記載しておきましょう。手続きに必要な印鑑やキャッシュカードも一緒にしておけるとベストですが、金庫などがない場合は、盗難リスクを考慮して別々に保管しておいたほうがよいかもしれません。
また、相続に関して絶対に叶えてほしい希望がある場合は、遺言書の作成も忘れてはいけません。エンディングノートで希望を伝えることもできますが、基本的にエンディングノートには法的拘束力がないため、確実に希望を実現してもらうためには法的な効力を持つ遺言書を作成する必要があります。
ただし、遺言書には細かいルールがあり、要件を満たしていないと無効になってしまうため要注意。自筆する場合は、あらかじめ遺言書を成立させるために必要な要件を確認し、抜け漏れがないよう慎重に作成しましょう。
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生前整理の基本的なやり方・進め方|品物編
続いて、品物整理の順を紹介します。
Step1.家財道具を整理する
Step2.デジタルデータを整理する
Step3.不要なものを手放す
こちらも順番に確認していきましょう。
Step1.家財道具を整理する
まずは、家財道具(自宅にある家具や器具、衣類など)を「必要なもの」と「不要なもの」に仕分けていきましょう。どうしても決められないものは、一旦保留にしても問題ありませんが、保留にしたものをずっと放置してしまうと、結局片付かなくなってしまうため、あらかじめ「1年以上使わなかったら捨てる」などのルールを設けておき、定期的に見直すようにしましょう。
なお、運転免許証やマイナンバーカード、保険証、年金手帳といった公的書類は、死後のさまざまな手続きで必要になります。保管場所が決まっていないと探し出すのに手間取ってしまうため、家族がすぐに見つけられるよう、1か所にまとめて保管し、その場所をエンディングノートに記しておきましょう。
Step2.デジタルデータを整理する
パソコンやスマートフォンを利用している方は、SNSやメール、写真、動画といったデジタルデータの整理も忘れてはいけません。
本人亡き後、端末へのログイン情報や各種サービスのアカウント情報がわからず、データの整理や解約手続きに難航するケースも珍しくないため、不要なサービスは生前に解約し、利用を継続するものに関しては、エンディングノートにアカウント情報(IDやパスワードなど)を控えておきましょう。
Step3.不要なものを手放す
ある程度整理できたら、不用品の処分方法を決めていきます。廃棄する以外にも、ネットオークションやフリマアプリで売却したり、知人に譲渡したり…といった方法もあるので、それぞれ適切な処分方法を検討してみてください。
生前整理を効率よく進めるための5つのポイント
最後に、生前整理を効率よく進めるためのポイントを5つ紹介します。
1.身体が元気なうちに始める
2.やることリストを作成する
3.前向きに取り組む
4.家族と一緒に作業する
5.業者に依頼する
上から順に確認していきましょう。
1.身体が元気なうちに始める
ここまで紹介してきたように、生前整理はやるべきことがたくさんあります。体力・気力だけではなく、判断力を要する作業も多いので、身体が元気なうちに始められるとベストです。繰り返しになりますが、生前整理を始める時期にこれといった決まりはないため、必要性を感じたタイミングで着手してみてください。
2.やることリストを作成する
生前整理に取り掛かることを決めたら、まずは「やることリスト」を作成しましょう。思いつくままに手を出してしまうと、1つひとつの作業が中途半端になってしまい、かえって効率が悪くなってしまうため、あらかじめ「やることリスト」を作成し、計画的に進められるよう意識してみてください。なお、終活の一環としてエンディングノートを作成する場合は、そのエンディングノートを生前整理のチェックリストとして活用するのがおすすめです。
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3.前向きに取り組む
冒頭でもお伝えしたように、生前整理は残りの人生をより楽しく、より快適に生きるために行うポジティブなものです。作業中に「自分の死」を意識することも少なくないため、人によってはネガティブな感情に支配されそうになるかもしれませんが、生前整理は何も死の準備を行っているだけではありません。身の回りを整理し、将来の心配事を解消することにより、晴れやかな気持ちで残りの人生を送れるようになるので、ぜひ前向きな気持ちで取り組んでみてください。
ただ、本当につらいときは無理して作業を行う必要はありません。適度に休息を入れることで、自然と前向きな気持ちに切り替わることもあるので、焦らず自分のペースで進めていきましょう。
4.家族と一緒に作業する
生前整理は、自分のためだけではなく、家族のために行うものでもあります。そのため、生前整理の必要性を感じ始めたら、家族にもその想いを打ち明けてみてください。前述のとおり、生前整理は体力・精神力・判断力を求められる作業が多いため、1人ですべてを完結させるのは容易なことではありません。人と一緒に作業することで、楽しく効率的に進められるようになるので、まずは身近な家族に協力を仰いでみてください。
5.業者に依頼する
自力での作業が難しい場合は、「生前整理業者」や「出張買取業者」といった専門業者の手を借りるのも1つの手です。依頼するにあたって費用は発生しますが、業者に入ってもらうことで、一気に片づけを進めることができるので、処分するものが多かったり、体力に自信がなかったりする場合は、プロへの依頼も検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
正直、生前整理は楽な作業ではありません。荷物を仕分けるにしても、財産を整理するにしても、それなりの時間と労力を要するため、想像以上にしんどいと感じると思います。
ただ、その先には明るい未来が待っているため、やらない手はありません。実際に取り組むことで、その後の人生をより前向きに捉えられるようになりますし、もしものときに家族の負担を軽減することができるので、将来的な不安も解消することができます。しんどいときは、適度に休息を入れながら自分のペースでゆっくり進めて問題ないので、気負いすぎず、ポジティブな気持ちで取り掛かってみてください。
なお、弊社では、生前整理をはじめ、終活全般のサポートを行っております。些細なことでも構いませんので、何かわからないことや困っていることがあれば、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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