数ヶ月前に訪問看護の施設の担当者様からご相談をお受けして、ご家族に迷惑をかけたくないから、葬儀の事も決めておきたいとN様からご相談を受けていると。
病院には行きたくない、大好きなこの家で最期を迎えたいとはっきりとご希望がおありでした。
お亡くなりになられたと、N様の奥様から連絡が入り、「ご自宅ですか」とお聞きしたら
「そうです、自宅で先程亡くなりました」と。
良かった、ご希望通りご自宅でご家族に見守られて逝けたんだ。
私はすぐにドライアイスを持ってご自宅に向かいました。
奥様とご子息様、お嬢様、ご子息様とこの日に入籍をされた奥様、家族みんながいらっしゃいました。
とても優しくて温かいご家族様、N様はここで最期を迎える事が出来た事に私は安堵致しました。
弊社にご依頼いただいたのは、N様が生前に担当者から弊社のパンフレットをもらい、隠して置いていたそうです。
N様は、エンディングノートを書いていて、
「葬儀は少人数で質素にして欲しい」
としっかり希望がおありでした。
ご家族とお話しして、お坊さんとかも呼ばずに、大切な人を呼んで、みんなで温かく見送るご葬儀にしましょうと話しました。
ただ質素にするのではなく、豪華に大袈裟にやるのではなく、儀式でもなく、皆様が集まって、お見送りの時間をみんなで故人様とお話ししながらお別れをする、そんな自由葬をご提案させていただきました。
ドライアイスを取り替えに、故人様の状態を確認しに、又、ご家族が寂しくないようにと、毎日通っておりました。
そのうち、ご家族皆様から笑顔が出てくるようになり、笑ってもいいんですねと奥様がおっしゃっていて、そうです、故人様は、悲しむよりみんなにいつも通り笑顔でいて欲しいと思っているはずです。
そんなお話をしながら、隣の部屋にいる故人様には声が聞こえていて、きっと一緒に笑ってくれていた気がしております。
奥様は音楽の教師であり、照れながら、音楽は大好きだしこだわりがあるんです、なんておっしゃっていたので一緒に音楽を聴きながら、曲にあった演奏のものを選んで、献奏は、ご夫婦が好きだった、中島みゆきの「時代」にして、後はこれとこれと、、、と決めていきました。
ご葬儀の当日は、故人様をみんなで囲むカタチのレイアウトを作り、大袈裟にはしなくないので祭壇も作らず、花はあちこちに飾り、思い出コーナーには写真や故人様の書かれた書物や研究の実績等をたくさん飾らせていただきました。
「大袈裟って怒られないかな」
と奥様。
いえいえ、きっと喜んでおります。と私。
そして式の1時間は、大切な人達と故人様を囲んでたくさんお話をして時間が足りない位でした。
ご自宅にはしっかりとご仏壇があり、ご両親のお位牌も立派なものでした。
祭壇を作って、宗教の儀式をしてやる方がいいですよと提案する葬儀社もいたかもしれません。
でも、あのエンディングノートとご家族のお話をよく聞くと、そうではない、家族との時間がまだまだ足りなかったに違いない、最後までたくさんお話をするお別れの方がいい、私はそう提案して良かったと思っております。
ご家族皆さまも、思っていた通りのお見送りができたとおっしゃってくださいました。
今回のご依頼にて私は、ご葬儀の内容はもちろんの事、ご葬儀当日までの数日をどうそのご家族と過ごして、悲しみの中でもちゃんと打ち合わせをして、故人様の為に、そして前を向いて生きていかなくてはいけないご家族の為に寄り添えるかがどれだけ大切かを、改めて実感しました。
1人の人の死はとてつもなく大きな事です。
それを乗り越えていく為にも、しっかり見送る事ができたねと胸をはって言えるような時間にする為に、もっともっと頑張ろうと思います。
大和市 大和斎場