一級建築士であり、水彩画の画家でもあったH様、私の幼なじみでもある、お嬢様(Mさん)のお父様です。M様からの連絡で、早朝病院にお迎えに向かいました。

その日の午後にお打ち合わせにMさんのご自宅に伺いました。

東京から駆けつけた長男さん、そしてMさんのご主人様と揃っていらっしゃいました。

お母様は施設にいらっしゃるので、息子さんと娘さんで葬儀の事を決めなくてはならない状況でした。

みんなで一致していたのは家族葬でやろうという事でした。

長男さんは、親戚も数人来ると思うから、やはり式場でやるのがいいのかな？

Mさんは、うーん自宅とかもできるの？と。

私は、お父様をよく知っており、一級建築士であり、ご自宅に事務所を設けて仕事をしていた事、何よりご自宅はお父様の設計で建てられた家である事、それを考えると、お父様をご自宅から旅立たせてさしあげたい、そんな気持ちでおりました。

お父様が入院なさって、家は誰も住んでいない状況でしたが、自宅に帰って来てもらって、自分が設計された家でまずはゆっくりと休んでいただいて、そこから旅立って欲しい、安置施設からのご移動やお寺さんの手配、そして棺を霊柩車まで運ぶ動線は大丈夫か、等、課題はあるものの、思いをカタチにする為なら、スタッフ達の力を借り絶対にやり遂げる、そう決めて、ご自宅できちんと仏式もやり、みんなで協力してお父様に帰って来てもらいましょうと提案させていただきました。

できるならそうしたいね、とご遺族皆様が一致してくれたので、よし、やりましょう。

そう決めて、各手配を致しました。

協力業者の皆様はとても協力的で、いつも精一杯尽くしてくださいます。

そんなスタッフを信じて、私は全ての段取りをしました。

通夜の日は家族みんなでお父様を囲んで、飲んで食べてたくさんお話しできる時間にして、翌日ご葬儀をご住職のもときちんとあげる、そんな二日間にしようと決めました。

前日にはみんなで家の掃除をして、襖も張り替えたり、まるで家に息吹きを注いで、家が喜んでいるように感じました。

お父様、喜んでくれるだろうねと話しながら、みんなで綺麗にして、お父様の絵をたくさん飾って、思い出の写真も飾り、お父様を迎える準備を整えました。

通夜の日にお父様のご遺体を安置施設からご移動していただき、

納棺師さんには早い時間に来てもらい、施設にいらっしゃるお母様も同席できるようにして、皆でお父様の納棺の式をしました。

ご遺族の方には、あの納棺の式は一生忘れないですと言っていただき、納棺師さんにも感謝です。

翌日のご葬儀は、仏式にて13名様できちんと滞りなく済ませ、ゆっくりと大好きなウイスキーをお口に飲ませてさしあげ、思い出のお品を入れて、お花入れをし、たくさんお話をして、出棺の運びとなりました。

ご自宅ならではの、ゆったり時間を取ってお別れできる、それも温かいです。

お孫さん達が４人男の子で、男性がたくさんいたので、お父様のお棺は、窓からお庭を通って運びましたが、みんなで力を合わせて運ぶ事ができました。

霊柩車、そして住職、皆様のお車と並んで横浜市北部斎場まで向かいました。

火葬の間に、精進落としとして食事をされて、皆で収骨を終え、無事にお見送りができました。

今回のご葬儀は、ご遺族様、協力業者のスタッフの皆様の心ある協力がなければ成し遂げられませんでした。

そして、何よりご家族皆様、もっと看病したかった、そう思われているように感じ、式までの時間を「もっと」がなくなるようにしたくて、皆様には忙しい思いをさせてしまいましたが、

「みんなで色々とやる事があったから、清々しい気持ちでお見送りができた」と言っていただき、とても嬉しかったです。

私達葬儀社は、何人もの方をお見送りする事が仕事です。

でもご家族にとってはたった1人の大切な方を亡くされております。

仕事だからと事務的にはできません。

それは幼なじみだからとかではなく、初めてご連絡いただく方も全く同じです。

故人様にとって、どうしたら喜んでくれるのだろうか？

ご遺族にとって、どうしたら後悔しない、いい葬儀だったねと思えるだろうか。

私達、葬儀社は作業をするのではありません。

頑張って生きてきた、ご家族様にとってはたった1人の大切な人のお見送りのお手伝いをさせていただくのですから、作業ではなく心を寄せるのです。

そして、毎回思います。

悲しみにの中なのに、ご遺族様は「ありがとう」と私達に言ってくださるのです。

ありがたい事です。

そして一つとして同じご葬儀はありません。

だから私達Aiウェルエンディングストーリーでは、オーダーメイドでプランをお作りし、よくわからないパックプランの見積もりではなく、必要なものできちんとプランを立てております。

だから、金額もご希望にそえるのだと思っております。

毎回、オリジナルなのです。

いつも、やり過ぎて初めてお会いしたご遺族様ともなぜか親戚のようになってしまうのですが、お式が終わったら終わりではなく、ご縁あってお会いできた方々とはずっとご縁が続くと、私は思うのです。

ご自宅

横浜市北部斎場