故人、お父様は奥様を早くにご病気で亡くされ、それからは家の事は何でもやってこられました。
そして、優しい娘さんとはまるで夫婦のようにお互いを思いやりながらの生活でした。
お父様が家で転ばれてからは、娘さんが手を貸しながらも、元気に過ごされておりました。
突然のご病気で、入院生活を強いられてしまい、それでも家に帰りたいとの強い希望で一度家に帰って来たものの、再度入院する事になられたようです。
それから、病気と闘いながらも最期まで精一杯人生を全うされたのだろうなぁと、故人様のお顔を見て思いました。
さて、ご葬儀の打ち合わせです。
姉妹二人とその家族だけで、ずっと帰りたかったご自宅で神道でできないか?
ちらっとそんな話がでました。
何でも出来る限りを尽くすのが私共です。もちろんやりましょう。という事に致しました。
部屋の広さを測り、天井の高さ電気の位置、細かく計算し、神道の祭壇を作ってくれる業者の方と相談しながら、家の作りが二間続きの部屋だった事もあり、通常と同じ祭壇を立派に創りあげる事ができました。
ご家族皆様は、こんなにきちんとしたものが家でできるなんて思わなかったと喜んでいただき、式はご家族だけで行い、出棺のお花入れの時にご近所さん達もたくさんいらしてくださって、ご自宅でこんなにしっかり式ができるの?
そんなお声があり、お父様喜んでくださっている気がして、私も嬉しかったです。
神主さんがしっかりと進行してくださり、私達は雅楽を流したり、電気を消したりと一般的なきちんとした神前式を執り行う事ができました。
自宅からの出棺になるので、ご近所の方と親交が深かったお父様をお見送りしたいとたくさんの方がいらしてくださり、私達スタッフは力を合わせて窓から棺を運び、霊柩車までみなで手を添え運ぶ事ができ、ご遺族、ご近所の方々、みんなで創り上げたご葬儀になったと思います。
私は毎回、お会いする故人様、そしてご家族の皆様にとって、悔いのないご葬儀を必ず実現すると決めております。
無謀な事でも、やれる事ならやりたいと思っています。
それは、残されたご家族が、心からいい葬儀になったねと言えるようにしたい、その事だけを徹底的に考えています。
今回はお父様と二人で暮らしていた娘さん。一人になってしまったので、あえてやる事をたくさんにして、私達スタッフが毎日のように行き、寂しいなんて言ってる暇がなくなるようにしたかったのです。
独りよがりかもしれないけど、私はそうする事で、娘さんに手伝ってもらいながら寂しさを少しでも忘れられたらいいなぁとの気持ちでした。
ご逝去の連絡があって、初めましての方もいれば、事前に相談くださっている方もいますが、そこからそのご家族に合わせて、寄り添い方も考えます。
今では、寄り添うという言葉が独り歩きしているような業界ですが、本気で寄り添う事は簡単ではなく、私もまだまだだと思っております。
それをどこまでやりきれるか。
それによって、心から「いい葬儀だったね」と言っていただけるのだろうと常に思い、今後も精進していく所存です。
大切な方を亡くされた悲しみのなか、ありがとうと言っていただける。
そんな素晴らしい仕事についている私はもっともっと皆様のために、頑張っていこう。
今回もそう強く思いました。
横浜市北部斎場にて