個人様は長い間、病院での生活でした。家族の献身的な看病で一度ご自宅に戻り、一人で歩けるまでになりました。
それでもその生活は長くは続かず、また病院での生活を余儀なくされることになりました。
入院中も弊社の終活バルにいつもいらしていただいていたので、常にお話をお聞きしておりました。
常に旦那様の事を考え、何かあったらすぐに病院に行けるようにといつも重たい荷物を抱えてお店にいらしてくださっておりました。
家に一人でいると食べる事ができないから、ここに来ると食べれるんだって言いながら…
私はそんなご家族を5年以上見ておりました。ご主人様が退院してご自宅に戻れた時は車椅子でお店にお越しいただき、焼きそばを美味しいと食べてくれた事、車椅子から立って歩いて椅子に座ってニコニコ笑ってくださった事、どんなシーンも目に焼き付いております。
奥様は旦那様が入院中も、退院して車椅子の時もいつも寄り添い側にいて、いつも一緒でした。
「万が一の時は愛ちゃんにお願いしたいと思っている」と話してくれた時は、万が一なんてまだまだだよと細かい話しはしなかった事も覚えております。
だから、この日が来る事がまだまだ先であって欲しかった。
昨今は長生きされる方が多くなった事もあり、80歳前ではまだ早いと思ってしまいます。
そんなご主人様のご葬儀、奥様のご希望が二つありました。
一つは、長い入院生活で友達や仲間が多かったご主人様は会いたい人がたくさんいたと思う、だから、一般葬にしたい。数人しか来なくてもそれでもいいから一般葬にしたい。
二つ目は、色んな方がいらしてくださる場合、皆様それぞれに違う宗派をもたれているだろうから、あえて無宗教にして、居心地のよいご葬儀にしたい。
その様におっしゃいました。
それなら無宗教にして、私共で式の内容は故人様とご家族様のご要望をお聞きしながら創作しますという事になりました。
まさに、当社がこだわっているオーダーメイドのご葬儀です。
ご希望のものだけをきちんと入れて必要ないものは入れないからこそ、安心な価格で提供できるのです。
私達は、まずはご遺族様の気持ちを考え、故人様にはたくさんの仲間に会ってもらい、きっと奥様やご家族様はそんな皆様にきちんと挨拶をしたいだろうと考え、いらしてくれた皆様全員にご挨拶ができるよう動線を考え、一人たりともご挨拶できない事がないように致しました。
そして、祭壇は故人が愛してやまなかったドラえもんをたくさん飾って、ご主人の部屋のようにして、お見送りの際はたくさんのお花にしたく、お花も豪華にしました。
思い出コーナーもご自宅から貴重な表彰状やメダルをお借りしてたくさんたくさん飾りました。
結果、思った以上たくさんの人達にご参列いただき、ご主人様は皆様と楽しくお話をされて喜んでいた事と思います。
ご葬儀が終わり、奥様からお手紙をいただきました。
今まで、入院してる時も、退院した時と、もっとこうしておけば良かった、あーしておけば良かった、そんな後悔がたくさんあるけど、ご葬儀は何一つ後悔していません、本当にありがとう、と。
涙が止まりませんでした。
大切な大切な人が亡くなり悲しみの中、こんなお手紙を書いてくださるなんて。
私達の仕事は、というより、私にとってご葬儀は自分の使命だと思っております。
奥様がいつも旦那様の事では後悔ばかりだったので、絶対に後悔しないご葬儀をやると決めて、スタッフみんなに協力してもらい、そんなスタッフのお陰もあり後悔しないご葬儀ができたのです。スタッフに感謝です。
まだまだ未熟ではありますが、毎回思います。
この仕事は私の使命であり、絶対にご遺族の気持ちに寄り添う事で、故人の最期をどうしたら一番いいのかをとことんやりきろうと。
お見送りの仕方は、火葬のみで温かくお見送りするのもよい、家族でしっかりお見送りするのもよい、たくさんの人に参列いただくお見送りもよい。
ご葬儀の大きさは関係ない、どれだけ温かく愛を込めてお見送りする事ができるか。
私は、必ず、まず故人様にお会いして頬に手をあてさせていただき「今まで生きてきてくれてありがとう」と伝えます。
これからも、もっともっとたくさんお礼を言い続けます。

大和斎場にて